2025年4月、日本でApple Intelligenceが使えるようになりました。
おそらくAppleユーザーの多くは、この最新の機能を活用しきれていないのではないでしょうか。
僕もApple関連の情報を発信している立場にありながら、今までApple Intelligenceを使いこなせていないのが現状でした。
そんなときに、ご縁があってAppleさんに「Apple Intelligenceのワークショップ」に招いていただきました。2時間みっちりとApple Intelligenceのレクチャーを受けたので、そこで得た学びを共有していこうと思います。
Apple Intelligenceとは?デバイス内で動作する生成AI

「Apple Intelligence」は、Appleが2024年に発表した生成AIのこと。
iPhoneやiPad、Macなどに搭載されていて、プライバシーを保護しながら日々の作業やコミュニケーションをよりスマートにしてくれます。
Apple Intelligenceで実現できるのは、以下のような幅広い機能たち。
- 文章の作成や校正
- 書類やPDF、メールの要約
- 画像生成
- 進化したSiri
- 写真に写り込んだ不要な物を消す
このようにApple Intelligenceは、ただの便利機能ではなく、iPhoneやiPad、Macで得られる体験を底上げしてくれる新たな概念になっています。
また、ChatGPTなどの一般的なAIがネットワーク上で動作するのに対し( = クラウド型AI) 、Apple Intelligenceは可能な限りデバイス上でAI処理を行います。
ネットワーク上の処理は、「プライベートクラウドコンピューティング」を利用して、セキュリティが強固に保護された環境で行われます。

ネットワーク上にはもちろん、Appleにも情報が漏れないセキュリティ面での配慮は、Appleが特に力を入れているポイントです。
Apple Intelligenceの対応端末と利用料金
Apple Intelligenceには高性能な処理が必要なので、パフォーマンスを維持するために利用できる端末が限られています。
- iPhone
- 16シリーズ以降、iPhone 15 Pro/Pro Max
- iPad
- iPad mini: A17 Proチップ (2024年モデル) 以降
- iPad Air: M1チップ (2022年モデル) 以降
- iPad Pro: M1チップ (2021年モデル) 以降
- Mac
- MacBook Air: M1チップ (2020年モデル) 以降
- MacBook Pro: M1チップ (2020年モデル) 以降
- Mac mini: M1チップ (2020年モデル) 以降
- iMac: M1チップ (2021年モデル) 以降
- Mac Studio: M1チップ (2022年モデル) 以降
- Mac Pro: M2チップ (2022年モデル) 以降
iPhoneおよびiPad miniでは、iPhone 15 Proに搭載されたA17 Proチップ以降のモデルで、iPad Air/ProとMacでは、Apple Silicon搭載 (M1チップ以降) のモデルでApple Intelligenceを使えます。
今も現役で使っている方が多いだろうiPhone SEやiPad mini 6などのデバイスでは、Apple Intelligenceが使えないことを覚えておきましょう。
また、上記の対応端末であれば、追加料金なしでApple Intelligenceを利用できます。

端末を中古で買う場合、Apple Intelligence対応の可否がポイント!
Apple Intelligenceで何ができる?オススメの使い方は?
ここからはApple主催の「Apple Intelligenceのワークショップ」で体験した内容を踏まえて、Apple Intelligenceで何ができるかを紹介していこうと思います。
ワークショップでは4つの体験ブースを回ることができました。
- マジックワンドでイメージを膨らませ、テラリウムを作るブース
- Siriに旅行計画を作ってもらうブース
- iPadで文章を校正・要約するブース
- iPhoneで画像生成を楽しむブース
それぞれどんなワークショップだったか紹介していきますね!
ラフスケッチから画像生成
ワークショップでまず案内されたのは、Appleとは関係なさそうな植物部屋でした。








「今からApple Intelligenceでイメージを膨らませて、実際にテラリウムを作ってもらいます!」
とのこと。
言われるがままに、用意されていたiPad Proにテラリウムのラフスケッチを描きました。


虹色のペン(マジックワンド)を選択して、文字 (テラリウム) とラフスケッチを囲みます。




するとラフスケッチをベースにテラリウムの画像を生成してくれました。


生成した画像でイメージを膨らませて、実際にテラリウムを作ってみます。


実際にワークショップで作ったテラリウムがこちら。




生成した画像とは違う印象のテラリウムになりましたが、”イメージを膨らませる”という観点からは面白い体験ができました。
ただ2025年5月現在、画像マジックワンドは未だベータ版となっています。実用的なシーンは限定的だと思いますが、ツールとしては面白いでしょう。
今後の発展が楽しみですね。
進化したSiriに旅行計画を作ってもらう
続いて案内されたブースでは、iMacを使って進化したSiriを体験することができました。


Appleユーザーなら今までSiriに期待していた返答をもらえなかった経験を持っているでしょう。
そんな”Siri“が、Apple Intelligenceで大きく進化していました。
まずはMacでメニューバーのSiriのアイコンをクリックするか、Command
を2回押すことでSiriを起動します。


Appleの担当者さんがSiriに旅行計画を作ってもらうためのおすすめのプロンプトを教えてくれました。


教えていただいたプロンプトに合わせて、Siriに「北海道で雪祭りの観光をする二泊三日の旅行計画」を作ってもらいます。


Siriに指示を出すと、”ChatGPTと連携しても良いか”を尋ねられるので、ChatGPTを使用
を選択します。


ChatGPTの使用を許可すると、Siriが瞬時に旅行計画を提案してくれました。


北海道雪祭り 二泊三日の旅行計画
- 1日目:到着と観光
- 午前: 新千歳空港到着。札幌へ移動(JR快速エアポートで約40分)。
- 昼食: 札幌ラーメン横丁で味噌ラーメンを堪能。
- 午後: 札幌市時計台、大通公園の雪祭り会場を散策。
- 夕方: すすきのでジンギスカンディナー。
- 宿泊: 札幌市内のホテル。
- 2日目:雪祭りメイン会場と周辺観光
- 午前: 大通会場の氷像・雪像をじっくり鑑賞。
- 昼食: 札幌場外市場で海鮮丼。
- 午後: つどーむ会場(子供向けアトラクションや滑り台)訪問。
- 夕方: 夜のライトアップされた氷像を再度鑑賞。
- 宿泊: 同じホテルまたは温泉宿。
- 3日目:帰路とお土産
- 午前: 北海道神宮参拝、白い恋人パーク見学。
- 昼食: 空港で石狩鍋やスープカレー。
- 午後: 新千歳空港でお土産購入後、帰路へ。
- 準備するもの
- 防寒着: 厚手のコート、帽子、手袋、マフラー
- 防水ブーツ: 滑り止め付きが理想
- インナー: ヒートテックやフリース
- カイロ: 貼るタイプと持つタイプ
- 日常品: カメラ、モバイルバッテリー、保湿クリーム
- 現金: 一部の店舗で現金が便利
安全で楽しい旅をお楽しみください!
「函館にも行きたい!」などと要望を付け加えれば、修正した旅行計画を再提案してくれます。
このように今までのSiriとは見違えるほどに進化しています。
ぶっちゃけると、僕は全てのデバイスでSiriをOFFしてたんですが、ようやく活用する時がきたようです。笑
作文ツールで文章を校正してもらう
次のブースでは、iPad Proで執筆した文章をシーンにあった方法で校正してくれる作文ツールを体験することができました。


上司へのメールの例として、伝えたいことをざっくり書いた文章をApple Intelligenceに校正してもらいました。
校正前
現在進行中のプロジェクトについて概ね順調に進んでいる。
先方との打ち合わせが終わり、スケジュールがギリギリである。
スケジュールの再調整についてミーティングをして相談させていただきたい。
ご都合のいい日時を教えて欲しい。
校正後
現在進行中のプロジェクトにつきましては、概ね順調に進んでおります。
先方との打ち合わせを終えたところ、スケジュールが非常にタイトになっております。
つきましては、スケジュールの再調整について、お手数ではございますが、ミーティングにてご相談させていただきたく存じます。
ご都合の良い日時をお知らせいただけますと幸いです。
敬具



一発でそのまま送れそうな文章になりましたね!
文章を校正してもらう方法について、要点を絞って解説していきます。
まずは校正したい文章を選択して、Apple Intelligenceの作文ツールを起動します。


作文ツールを開くと、メニューから文章をどのように変更したいかを選べるようになっています。


今回は上司へのメールで丁寧めに修正ほしかったので、変更内容をテキストで指定してみました。


するとApple Intelligenceがすぐにユーザーの指示を理解して、文章を校正してくれます。





文面で悩まなくて良いのがGood!
作文ツールで文章を要約してもらう
Apple Intelligenceの作文ツールは、文章の校正にとどまりません。
長文を要約したり、箇条書きに整理したりと、読みやすく整えることもできちゃいます。




もちろんApple Intelligenceだけでなく、ChatGPTやGeminiのような他のAIでも同じようなことができます。
でもApple Intelligenceならわざわざ別のAIアプリを開く必要もないですし、文章を選択してそのまま要約・校正できます。デバイス内で完結するので個人情報が流出するリスクもありません。
Image Playgroundで画像を生成
最後のブースでは、Image Playgroundで画像生成を体験するブースに案内されました。


Image Playgroundは、Apple Intelligence対応のiPhone・iPad ・Macをアップデートすると自動的にインストールされる新しい画像生成アプリです。


Image Playgroundを開いて、生成したい画像のイメージを入力していきます。
実際に試してみたところ、要素を詰め込みすぎるよりは、2〜4つ程度に留めておいたほうがよさそうです。
生成する画像のスタイルは、アニメ・イラスト・スケッチの3つから選べます。




実際に僕がImage Playgroundで生成してみた画像がこちら。




生成した画像は、ステッカーとしてiMessageで送信することができます。LINEでいうスタンプのような使い方ですね!


僕も日頃から家族の連絡でiMessageを使っているので、早速ステッカーを多用してます。笑
まとめ: 結局Apple Intelligenceは何がすごい?


この記事では、Apple Intelligenceのワークショップの体験レポートをまとめてきました。
ChatGPTやGeminiなどのAIと違って、Apple Intelligenceはデバイスの機能として搭載されています。
アプリを切り替えることなく、必要なときに必要な機能をスムーズに呼び出せるという利便性は、Apple Intelligenceが端末に直接組み込まれているからこそ実現できるもの。
画像生成には課題が残りますが、文章の修正や校正、要約やリスト化などは実用レベルに十分達しています。
おそらくApple Intelligenceを使ったことがない方がほとんどだと思うので、ぜひこの便利な機能を試してみてください!
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