「自炊」とも言われる本の電子化は、デジタルデータとして本を綺麗な状態で保存するだけでなく、どこでも自分の本棚にアクセスできるのが魅力的。しかし綺麗にスキャンするには、本の裁断が必要でした。
そこで本稿では、”本を切らずにそのままの形で残したまま電子化したい” というワガママな願いを叶える非破壊型のスキャナー「CZUR ET24 Pro」をレビューしていきます。
若干白っぽくなるが、限りなく自然な色味を再現。高速スキャンが魅力だが、平置きできない本には時間を要する。オプション品の購入は、余裕がある方のみで大丈夫。
レビュー用にメーカーより製品提供を受けています。金銭等の提供はなく、筆者が感じたままの自由レビューです。
CZUR ET24 Proは、Makuakeで先行販売!
CZUR ET24 Proはクラウドファンディングサイトの「Makuake」で日本に上陸しました。Makuakeでの販売は、2023年8月3日(木)〜10月4日(水)の2ヶ月間のみとなっております。当期間では数量限定で最大35%の割引価格での購入が可能です。
Makuakeでの製品の購入は、「応援購入」という独自の形式がとられています。受付終了から配送に要する期間は、平均3ヶ月ほどで、受注生産または予約販売となります。CZUR ET24 Proの場合は、10月4日に受付が終了し、10月末までに配送となる予約販売です。Makuakeでの応援購入した方に対する配送が終了した2023年11月以降に一般販売が予定されています。
CZUR ET24 Proのパッケージ内容や外観をチェック
CZUR ET24 Proのパッケージ内容
CZUR ET24 Proのパッケージ内容はこちら。
- スキャナー本体
- サイドライト
- フットペダル
- ハンドボタン
- 作業マット
- 電源アダプタ
- 指サック
- USBケーブル
- 変換プラグ
- インストールCD
- 取扱説明書
電源ケーブルは3つの電源アダプタから日本のコンセントに合う形を選んで装着します。海外用のアダプタを渡されても困るので、日本で売るなら日本仕様にしてほしいところ。
マウスでスキャンボタンをクリックするのに加え、付属のハンドボタンやフットペダルを押すことでスキャンすることも可能。
スキャンデータには映らない指サックが付属していて、平置きできない本を抑える際に重宝します。
豪華すぎるパッケージ内容ですね!
CZUR ET24 Proの外観
スキャナー本体のサイズは、横幅375mm × 高さ390mm × 奥行220mmで、存在感のある大きさです。
上部には2.4インチのモニターが搭載されていて、スキャン画面を簡易的に確認できます。PCの画面に目線を移さなくて良いので、直感的な作業をサポートしてくれます。
脚部には4つのボタンが搭載されていて、ライトの明るさ調整やHDMIモードにおけるズームや拡大など簡易的な操作ができます。
電源スイッチや電源用のDCジャック、外部モニターに接続するためのHDMIポート等を搭載。HDMIでモニターやプロジェクターに接続すれば、スキャナーをサブカメラとして応用でき、手元の共有に役立ちます。
真上からのライトに加えて、斜め45度から照らせる取り付け式のサイドライトも完備。マグネットで容易に着脱できるのも魅力的。
アシストカバー(オプション品)
アシストカバーは、本の表紙が写り込むのをカットするためのオプション品。アシストカバーを使えば、確かに表紙が写り込まないので、本をスキャンするために本製品を購入する方にとっては重宝するアイテムでしょう。
アシストカバーの価格は、定価6,000円(Makuakeでの先行販売は3,900円)。個人的には6,000円なら買わなくていいと思うし、3,900円でもちょっと迷う。厚い本のスキャンが主な用途な方に限り、検討しても良いのではないでしょうか。
スタジオボックス(オプション品)
オプション品のスタジオボックスは、スキャンする際により均一に照明を当てることで影や反射の影響を最小限にしてくれます。使ってみて性能には疑いの余地がありませんが、組み立て後のサイズが60 × 60 × 60cmと、かなり大きいのが気になります。常に設置しておくには、スキャナー専用のスペースが必要になるでしょう。
スキャナーの背部には、コード類を通すための穴が空いていて、電源ケーブルやPCやアクセサリーと接続するケーブルをまとめて管理できます。
スタジオボックスは、24本のフレーム、フレームをつなぐ8つのアダプタ、カバーで構成されています。本体の組み立ては想像以上に大変でした。もちろん解体もそれなりに大変なので、使うたびに組み立てるのは現実的ではなさそうです。
スタジオボックスの定価は13,000円(Makuakeでの先行販売は8,450円)で、決して安くはありません。設置に専用スペースが必要で、使うたびに組み立てることは面倒なので、自宅向きとは言い難いでしょう。オフィスなどでスキャンの頻度が高く、専用のスペースを用意できる方がターゲットになるかと思います。
CZUR ET24 Proの使用感
実際にCZUR ET24 Proを筆者が試して感じた印象を紹介していきます。一言でまとめると、「精度が高くて便利だが、価格やサイズ感、PCへの負荷を考えると企業向き」といった感じ。
ソフトウェアはシンプルで直感的に使える
CZUR ET24 Proを使用するには、専用のソフトウェアをダウンロードする必要があります。専用ソフトウェアは、CZURの公式ホームページからインストールでき、マニュアルの閲覧も可能です。
ソフトウェアを起動すると、スキャンモードかHDMIモード(サブカメラ)を選ぶように求められます。プレゼンテーションで手元を共有するHDMIモードを使う頻度が高いユーザーには嬉しい仕様ですね。HDMIモードを全く使わないユーザーもいると考えられるので、起動モードを設定しておければ便利だなと感じました。
スキャナ
を選択してソフトウェアを起動すると、スキャンしたファイルや既存のでデータを編集する画面になります。CZUR ET24 Proと接続するには、本体とPCをUSBケーブルで接続した上でスキャン
をクリックします。
スキャンをクリックすると、CZUR ET24 Proとの接続が開始されます。本体とPCをUSBケーブルで繋いでいれば、ほんの数秒で接続が完了します。
スキャンのトリガーは、画面右下のスキャンボタンをクリック・ページめくりでの自動スキャン・フットペダル(付属アクセサリー)・ハンドボタン(付属アクセサリー)の4通り。個人的には両手を空けられるフットペダルがオススメ。スキャンの対象は、フラットペーパー・湾曲した本・結合側・手動の4パターンから選択できます。「フラットペーパー」は、1枚の書類のように見開きになっていない紙に対して使います。「湾曲した本」は、見開き部が湾曲している本や厚みのある書類に使います。「結合側」は、表と裏を1枚に結合する際やA2のような1度でスキャンしきれない書類を別々にスキャンして結合する際に用います。書類を斜めに設置しても、ソフトウェアが自動で判別して正しくスキャンしてくれます。対象物をきっちり設置しなくて良いのは助かりますね。
画面右上の歯車マークをクリックすれば、スキャンデータの解像度や画質、画像フォーマットの設定ができます。現状(2023年8月現在)では、jpgしか選択できませんが、今後ソフトウェアのアップデートでPNGやPDFに対応してくることが推定されます。
筆者は取扱説明書を見ずにソフトウェアを操作してきたが、不明点なく直感的に扱うことができました。細かいところで気になるポイントはありますが、概ね使いやすいソフトウェアだと感じます。
文字起こし(OCR)にも対応!
通常スキャンしただけでは、スキャンデータを画像として認識している状態で、データ内の文字を文字として認識していません。スキャンデータ内の文字を文字として認識するためには、光学的文字認識(OCR)という機能が必要となります。CZUR ET24 ProにはOCR機能が搭載されており、紙から文字を自動認識することでWord・Excel・PDFへの変換が可能。OCRが搭載されていることで、スキャンデータ内を文字検索できるので、参考書などを電子化したい方には必須の機能です。
データ処理は重めで、PCに負荷がかかる
長時間CZUR ET24 Proを使うと、PCがカクカクするようになりました。さらに数分後には、「CZUR ET24 Proのソフトウェアがメモリを圧迫している」ことを示すメッセージが表示されました。検証したPCは、M2チップを搭載したメモリ8GBのMacBook Airなので、ミドルグレード以上の性能を備えています。長時間の作業となる場合は、スペックを積んだPCで使った方が良さそうです。
スキャンデータはムラなく自然な色味を再現
左がiPhone、右がCZUR ET24 Proでスキャンしたデータです。Webサイトにアップするにあたって、両者とも元データより暗めに写っています。
iPhoneでスキャンしたデータは、綺麗に見せようとしてなのか白すぎて不自然に見えます。一方、CZUR ET24 Proは写真や赤線も鮮明で、iPhoneより綺麗に見えます。書類の全体を通してみても、iPhoneよりCZUR ET24 Proのほうがムラが少ないのが分かります。
平置きできない漫画のスキャンは、時間がかかってしまう
漫画のように手で押さえないと平置きできない書籍は、付属の指サックを使って抑えるか、もしくは裁断してスキャンするかの2通り。本製品は、「裁断不要」を売りにしており、指サックで本を押さえればスキャンが可能です。しかし本を綺麗に抑えるのに時間をとられるので、1冊丸々スキャンするのは手間がかかります。平置きできる本であれば、1ページ数秒で裁断が可能なので、平置きできる本のスキャンがメインになるでしょう。
まとめ:公私ともに使える裁断不要のスキャナー
本稿では裁断不要の非破壊スキャナー「CZUR ET24 Pro」をレビューしてきました。本を残しつつ高いレベルで電子化できるので、重宝する方も多いでしょう。一方、平置きできない本のスキャンには時間がかかってしまい、注意が必要です。オプション品であるアシストカバーとスキャンボックスは、余裕のある方のみ購入すれば問題ありません。特にスキャンボックスは、組み立てが面倒で設置スペースも必要になるので、十分検討してから購入したほうが良いでしょう。
本製品は2023年8月3日から10月4日の2ヶ月に限り、Makuakeでの応援購入が可能です。期間中は本体・オプション品ともに、一般価格よりお得に購入できます。不明点がありましたら、コメント欄で教えてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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