中国のオーディオ機器メーカーEDIFIERの「NeoBuds Pro」は、世界で初めてハイレゾに対応した完全ワイヤレスイヤホンとして話題を集めました。
「ハイレゾ」では、CDの約6.5倍の情報量を持った高音質な音楽が特徴で、アーティストの息づかいや会場の空気感まで楽しむことができる。これから完全ワイヤレスイヤホンを購入する場合、ハイレゾへの対応が重要な判断基準になるだろう。
NeoBuds Proの後継機である「NeoBuds Pro 2」は、1万円台という価格設定にも関わらず、ハイレゾ対応かつ”圧倒的な高音質ノイズキャンセリングイヤホン“を謳っている。
1万円台だし、どうせ大したことないんでしょ?
というのが「NeoBuds Pro 2」を試す前の印象だ。日常的にAirPods Pro(約4万円)を使っている筆者は、「1万円台のイヤホンに満足できるはずない」と、本製品に期待していなかった。
しかし実際にレビューしてみると、ノイキャンはAirPods Proを上回り、音質も十分すぎるほど良い。NeoBuds Pro 2は筆者の偏見を覆す完全ワイヤレスイヤホンで、1万円台で購入できるとは到底思えない仕上がりだ。
すでに国内最大級のオーディオビジュアルアワードであるVGP2024の受賞が決定しており、これから注目度が上がっていくことも予想できる。
そこで本稿ではEDIFIERの進化した完全ワイヤレスイヤホン「NeoBuds Pro 2」のレビューを執筆していく。
- 音質にこだわりたい方
- 予算2万円で完全ワイヤレスイヤホンを探している方
- 毎日かつ長時間つかわない方
- 音質の解像度が高い
- 3種類のノイキャンと外音取り込み
- マイク性能が良い
- アプリで細かく設定できる
- 価格が安い
- ワイヤレス充電に非対応
- バッテリー持ちが短い
- 装着時やモード変更時のアナウンス音
- アンビエントサウンドがすこし不自然
提供:EDIFIER
EDIFIER NeoBuds Pro 2の開封レビュー
早速EDIFIERの完全ワイヤレスイヤホン「NeoBuds Pro 2」を開封して、デザインやパッケージ内容をチェックしていく。
パッケージ内容と本体デザイン
- NeoBuds Pro 2
- 充電ケース
- ポーチ
- 交換用イヤーチップ
- 取扱説明書
ブラックの本体とゴールドのロゴの相性が良いデザイン充電ケース。マットな質感で指紋汚れが目立ちにくいのが嬉しい。
充電ケースの後面には、充電のためのUSB-Cポートを搭載。PCやiPhone(15シリーズ以降)と充電ケーブルを共有できるのは、小さくないメリットでしょう。
充電ケースを開くと、NeoBuds Pro 2が登場。イヤホンと充電ケースはどちらも1時間でフル充電が可能。
外側はマット仕様になっており、指紋なども目立ちません。EDIFIERのメーカーロゴがアクセントになっています。一方イヤホンの内側はツルッとした光沢感のある仕様です。
NeoBuds Pro 2を耳に装着してみた様子はこんな感じ。ロゴがアクセントになっていてオシャレですね。
充電ケーブルは、USB-A to Cケーブルを同梱。筆者は、Ankerの絡まないUSB-Cケーブルを愛用しているので、付属のケーブルの出番はなさそう。
NeoBuds Pro 2を持ち運ぶためのポーチは、充電ケース+α(ケーブルなど)を収納でき、個人的には使い勝手が良いと感じている。
イヤホンに装着するイヤーチップは、7サイズから選ぶことができる。自分に合ったサイズが見つからないことはなさそうだ。
NeoBuds Pro 2の重さやスペック
本体の重さは、充電ケース込みで58.0g、イヤホン単体で5.3gでした。
AirPods Proと比べると、NeoBuds Pro 2のほうが数g軽く、ひとまわり大きくなっています。ひとまわり大きいとはいえ、比較対象のAirPods Proがコンパクトすぎるだけで、NeoBuds Pro 2も十分コンパクトです。
詳しい仕様はこちら
Bluetooth | |
Bluetoothプロトコル | A2DP, AVRCP, HFP |
再生時間 | ANC OFF:5.5時間(イヤホン) + 16.5時間(充電ケース) ANC ON:4時間(イヤホン) + 12時間(充電ケース) |
チャージングサポート | USB-TypeC |
充電時間 | 1時間(イヤホン)/1時間(充電ケース) |
入力 | 5V/200mA(イヤホン)/ 5V/1A(充電ケース) |
マイク | 8個(イヤホン1個につき4個) |
マイク感度 | -38dB±1dB |
防水/防塵 | IP54 |
音声符号化 | LDAC, LHDC, SBC,AAC |
出力音圧 | 92±3dB SPL (A) |
重量 | 5.6g(各イヤホン)/49.2g(充電ケース) |
周波数特性 | 20Hz-40KHz(LDAC) |
寸法 | イヤホン 35 × 21 × 27mm 充電ケース 67 × 55 × 30mm |
使って感じたEDIFIER NeoBuds Pro 2のメリット
実際にNeoBuds Pro 2を使ってみて感じた”メリット”をまとめてみました。
- 解像度が高く、低音も強い
- 3段階のノイズキャンセリング
- マイク性能が良い
- カスタマイズ性の高いアプリ
価格が安いのに目がいきやすいが、最大の魅了は音質の良さだ。とても2万円以下で買えるイヤホンの音ではなく、音質に拘りたい方でも満足できるだろう。
それでは上記の4点を中心にNeoBuds Pro 2のメリットを紹介していきます。
音質の解像度が高く、低音も強い
『NeoBuds Pro 2』は、ハイレゾ対応の高音質コーデック「LDAC」を採用。最大192kHz/24bitの高解像度伝送が可能となりました。デフォルトではOFFになっているので、アプリでONに設定することでハイレゾ音源を楽しめるようになります。
しかし2023年現在、iPhoneはハイレゾ音源の無線出力に対応していません(上記の設定画面も表示されません)。実際にiPhoneでアプリを開くと、左上のハイレゾマークが無効になっているのが分かります。
それでも業界大手であるKnowles社製のドライバーシステムを導入しているだけあって、iPhoneでも音に深みと奥行きがを感じます。低音も響いてくるし、とても1万円台のイヤホンとは思えない。
Androidでハイレゾを出力してみると、iPhoneより明らかに臨場感が増して立体的に聴こえます。正直メインスマホをiPhoneにしていることをこんなに悔いたことはない。しかしiPhoneで使うにしても、AirPods ProよりNeoBuds Pro 2の音質を好んでしまう自分がいる。
音質に拘りたい方はぜひ試してみて!
3段階のノイズキャンセリング
『NeoBuds Pro 2』には、EDIFIERの独自技術のノイズキャンセリング「ワイドバンドマルチチャネルANC」を搭載。高・中・軽の3段階で、最大-50dBとノイキャンの仕様も強力。
実際に聴いてみると、比較的しっかり騒音をシャットアウトしてくれる。高音領域の音はカットしきれていませんが、人の話し声などの中音領域は割とカットされる印象ですね。もちろんノイズキャンセルが強力なイヤホンには劣りますが、少なくてもAirPods Proと同等もしくはそれ以上のレベルではあるかな。
マイク性能が良い
実際にNeoBuds Pro 2を使ってWeb会議をしていると、「音質が良くなった?」と複数回の指摘があった。合計8つのマイクが搭載されており、クリアな音を届けられるためだろう。
マイク性能はユーザー自身が良さを実感しにくい部分でもあるが、他者に気づかれるほどなので安心して良さそうだ。
カスタマイズ性の高いアプリ
『NeoBuds Pro 2』の最大の強みがアプリのカスタマイズ性です。EDIFIERの専用アプリでできることをまとめました。
- ノイズキャンセリングの設定
- 音質の調整
- イコライザーの設定
- ケースのLEDカラーの変更
ノイズキャンセリングの設定
『NeoBuds Pro 2』には、3段階のノイズキャンセリング、アソビエントサウンド、風切り音抑制、ノイズキャンセルOFFが搭載されている。アプリから設定することで、好きなモードを選ぶことができる。
音質の設定
NeoBuds Pro 2には、音楽・ゲーム・空間オーディオの3シーンを搭載し、アプリで設定します。
遅延を最小限にするゲームモードでスプラトゥーンをやってみたところ、気になることなくプレイができた。空間オーディオでは、音がする位置を固定することで、頭の動きに応じて聴こえ方が変化する。没入感を大事にする映画やライブ映像の鑑賞時におすすめの機能だ。
ハイレゾ出力時には使えないので、普通に音楽鑑賞をする場合は空間オーディオの出番はないだろう。映画鑑賞につかってみたところ、映画館にいるかのような音源を体験できた。映画好きの筆者にはたまらない機能だった。
イコライザーの設定
『NeoBuds Pro 2』には、2種類のイコライザープリセット(クラシック・ダイナミック)を搭載。
自分でイコライザーをカスタマイズすることもできるが、初心者には難しい機能だろう。設定したイコライザーは、QRコードで共有できる。
EDIFIER公式や音楽に詳しい方がイコライザーを作成して公開してくれれば面白い。NeoBuds Pro 2のシェアが広がれば、チャンスがあるかもしれない。
ケースのLEDカラーを変更
NeoBuds Pro 2の充電ケースのLEDカラーは、アプリ内で8色から選べる。
実際にカラーを変えてみた様子はこんな感じ。
イヤホン本体のカラー(黒・白)とLEDカラーの組み合わせは16通り。細かい機能ではあるが、ユーザーが好きなカラーを選べるのは嬉しいポイントでしょう。
使って感じたEDIFIER NeoBuds Pro 2のデメリット
ここまでNeoBuds Pro 2の良いところばかり紹介してきましたが、実はイマイチに感じているポイントもあります。
- ワイヤレス充電に非対応
- バッテリー持ちが短い
- 装着時やモード変更時のアナウンス音
- アンビエントサウンドはちょっと不自然
上記の4点は、僕が満足していないポイント。ひとつずつ詳しく説明していきます。
ワイヤレス充電に非対応
2万円以下のイヤホンなので、さすがに全部入りとはいきませんでしたね。ワイヤレス充電への非対応は、安い価格の代償でしょう。
バッテリー持ちが短い
ノイズキャンセル使用時のバッテリー持ちは、イヤホン単体で4時間。他のモデルと比べるとちょっと短めだ。ケースと合わせれば16時間使えるので問題ないが、使い方によっては毎日充電が必要になる。
つまり製品ターゲットは、音質やアプリ性能にも拘りたいライトユーザーということが分かる。毎日長時間つかうユーザーは、もうすこし費用をかけてワイヤレス充電に対応かつ長時間のバッテリーを有したモデルも検討しても良いでしょう。
装着時やモード変更時のアナウンス音
イヤホンを耳に入れたり、モードを変更したりすると「Connected」、「High noise canselling」などとアナウンス音がなる。再生中の音楽が小さくなり、通知音が消えたタイミングで設定が適応されます。
こういった仕様は他のイヤホンでもみられるが、シームレスじゃない気がして個人的には好きでない。可能ならアプリでアナウンス音をOFFにできるようになってほしいところ。
アンビエントサウンドはちょっと不自然?
外音取り込みモード(アンビエントサウンド)は、ボーカル・バランス・バックグラウンドの3種類を搭載し、好みに応じて調整できる。ただアンビエントサウンドにはちょっと不自然さを感じることも……….。
確かに外音は聞こえやすくなるけど、「イヤホンをつけていない時のように自然に聞こえるか」と聞かれるとそうではない。理頭の中で音楽が聴こえていて、外からの音も自然に聞こえてくるのが理想。そもそも2万円以下のイヤホンに求める機能ではないが、音質が素晴らしいだけに外音取り込みにも期待してしまう。
まとめ:最高の音質をありえない価格で実現
本稿ではEDIFIERの完全ワイヤレスイヤホン『NeoBuds Pro 2』をレビュー・紹介してきました。
- 奥行きや深みのある音質
- 3段階のノイズキャンセリング
- カスタマイズ性の高いアプリ
- マイク性能が高い
- コスパが良すぎる
- ワイヤレス充電に非対応
- バッテリー持ちが短い
- 装着時やモード変更時のアナウンス音
- 若干の不自然さが残るアンビエントサウンド
上記のメリットとデメリットを考慮した上で、僕がNeoBuds Pro 2をオススメしたいのはこんな方。
- 音質にこだわりたい方
- 予算2万円で完全ワイヤレスイヤホンを探している方
- 毎日かつ長時間つかわない方
特に予算が2万円ならNeoBuds Pro 2を超えるモデルを探すことは難しそう。すくなくても1万円台で聴ける音ではないので、買って後悔することはないでしょう。
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