無線LANルーター分野で日本大手のBUFFALOは、ガジェットに詳しくないユーザーでも聞いたことがあるメーカーでしょう。意外にも国内メーカーであり、安心・安全のクオリティを有しています。そんなBUFFALOからWi-Fi 6Eに対応したメッシュWi-Fiルーター「WNR-5400XE6/2S」をご提供いただきましたので、本稿でレビューしていきます。
つなぐだけでメッシュ環境を構築できるので、メッシュWi-Fi入門機としてオススメ!アプリで細かな設定ができないのは残念だが、他メーカーのルーターと連携できる「EasyMesh」は魅力。
- 設定はつなぐだけ
- メッシュWi-Fiで家中に快適なネット環境を構築できる
- EasyMeshに対応
- 本体デザインが良い
- Wi-Fiルーターとしての能力は申し分ない
- 2つの設定用アプリが必要
- アプリで出来ることに限界がある
- アプリのUIが微妙
- ブラウザ上の設定画面が使いにくい
メーカーより製品提供を受けて記事を執筆しています。金銭等の提供はなく、筆者が感じたままの自由レビューです。
Wi-Fi 6E対応したトライバンドルーター:WNR-5400XE6/2S
BUFFALOの無線LANルーター「WNR-5400XE6」は、次世代の通信規格であるWi-Fi 6Eに対応し、従来の5GHzと2.4GHzに加えて、新たに6GHzがサポートされています。Wi-Fi 6E対応の無線LANルーターとしては、国内で初めて最大2.5Gbpsの有線INTERNETポートを搭載。
盛りだくさんの無線LANルーターに仕上がっているので、使用感のレビューに先立ってWi-Fi 6Eや本製品の特徴について紹介していきます。本製品の使用感について知りたい方は、こちらから飛ばし読みしてください。
次世代通信規格「Wi-Fi 6E」とは?
Wi-Fi 6Eは、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)の周波数を増やした拡張規格です。最大の特徴は、従来の2.4GHz帯と5GHz帯に加えて6GHz帯が利用が可能となること。新しい6GHz帯は混雑や干渉が少なく、快適なWi-Fi環境を構築できるようになります。Wi-Fi 6Eのメリットは、混雑や干渉が少ない、DFCによる待機時間がない、高速通信が可能などが挙げられます。
メッシュWi-Fiとは?
メッシュWi-Fiとは、複数のWi-Fiルーターを設置し網目上にWi-Fiをめぐらせた環境のこと。Wi-Fiルーターのカバー範囲には限界があり、ルーターから離れるほど回線速度が安定しにくい。一方、複数の場所からWi-Fiが飛ぶメッシュWi-Fiなら、家中に快適なインターネット環境を構築できます。別々のSSIDを有するWi-Fiルーターと中継機では、家の中を移動するたびにWi-Fiを接続しなおす必要がありますが、メッシュWi-FiではコントローラとエージェントのSSIDが統一されており、家の中を移動しても接続が切れることがありません。
他メーカーとも連携できる「Wi-Fi EasyMeshTM」。メーカー独自のメッシュWi-Fiとの違いは?
メッシュWi-Fiには、「メーカーの独自規格」と「EasyMesh」が存在します。
TP-LinkのDecoシリーズは、メーカー独自のメッシュWi-Fiの代表例ですね。Decoシリーズは、すべてのルーターをひとつのアプリで管理できるので、シンプルに使いやすいのがメリットです。一方、他社製のWi-Fiルーターと連携できない点やラインナップが限られる点はデメリットでしょう。
対して「EasyMesh」は、メッシュWi-Fiの共通規格です。例えばバッファロー製の「WNR-5400XE6」とTP-Link製の「Archer AXE5400」でメーカーを超えて連携し、メッシュWi-Fi環境を構築できます。
EasyMeshの強みは、他社製のWi-Fiルーターと連携できる点やラインナップの豊富さ。一方、管理には複数の(ルーターごとの)アプリが必要になる場合もあります。
BUFFALOは「EasyMesh」に最も力を注ぐメーカーのひとつ。2019年以降に発売したWi-Fi 6対応ルーター/中継機の全ラインナップがファームウェアアップデートによって「EasyMesh」に対応する予定です。
WNR-5400XE6/2Sのパッケージ内容
- WNR-5400XE6の本体 × 2
- LANケーブル(2m)× 2
- ACアダプター × 2
- 取扱説明書
- 保証証
メッシュWi-Fiを構築するために、WNR-5400XE6や付属品が2セット同梱しているのが特徴です。メッシュWi-Fiルーターを1台ずつ購入するよりお得な構成になっています。
WNR-5400XE6のデザイン
本体のデザインからまず感じるのは、Wi-Fiルーターっぽくないということ。全てのアンテナが内蔵されているので、Wi-Fiルータにありがちな「ゴツさ」がないのが特徴的です。アンテナが外に出ていないことで、どこにおいても空間に馴染みやすいデザインに仕上がっています。
本パッケージは2台セットなので、あらかじめモデムと接続するコントローラとしてWi-Fiを拡張するためのエージェントとしてEasyMesh用にペアリングされています。ユーザーに優しいパッケージ仕様で、初めてメッシュWi-Fiを導入する方にもピッタリでしょう。
向かって左側には、Wi-Fiルーターの状態を示すLEDとAOSSボタンを搭載。AOSSボタンは、メーカーによって「WPS」や「らくらくスタート」と呼ばれており、ワンタッチで無線接続とセキュリティ設定が可能です。右側には本体の設定を変更するためのスイッチやリセットボタンが搭載されています。
2.5Gbpsポート × 1、1Gbpsポート × 3、電源ポートが本体の底面に搭載されています。底面なのでケーブル類がスッキリしやすい仕様になっています。
同梱されているスタンドは、本体を壁掛けもしくは立てて配置するときに便利です。スタンドなしでも本体は自立しますが、倒れやすいので注意しましょう。
空間に馴染みやすいデザインがGood!
WNR-5400XE6のサイズ感
本体サイズは、横:140mm × 高さ:217mm × 奥行:75mmです。
参考までにiPhone 14とサイズを比較してみました。Wi-Fiルーターとしては、大きすぎず小さすぎずといった感じですね。
WNR-5400XE6の仕様
下記に本製品の詳しい仕様を引用しておきます。さらに詳しく知りたい方は、BUFFALOの製品ページをご覧くださいませ。
無線LAN | 伝送方式 | CCK、DSSS、OFDM、OFDMA、MIMO |
周波数 | 6GHz: 191~283ch(5955~6415MHz) 5GHz: W52 36/40/44/48ch(5180~5240MHz) W53 52/56/60/64ch(5260~5320MHz) W56 100/104/108/112/116/120/124/128/132/136/140ch(5500~5700MHz) W56(新電波法対応) 144ch(5720MHz) 2.4GHz: 1~13ch(2412~2472MHz) ※電波法によりW52/53は屋外使用禁止。(法令により許可された場合を除く) ※電波法により6GHzは屋外使用禁止。 | |
準拠規格 | 6GHz: IEEE 802.11ax:2401Mbps (160MHz 2×2) IEEE 802.11a:54Mbps 5GHz: IEEE 802.11ax:2401Mbps (160MHz 2×2) IEEE 802.11ac:1733Mbps IEEE 802.11n:300Mbps IEEE 802.11a:54Mbps 2.4GHz: IEEE 802.11ax:573Mbps (40MHz 2×2) IEEE 802.11n:400Mbps IEEE 802.11g:54Mbps IEEE 802.11b:11Mbps | |
セキュリティー | WPA3 Personal WPA2 Personal WPA/WPA2 Personal WPA2/WPA3 Personal WEP(128-bit / 64-bit) Any接続拒否 プライバシーセパレーター MACアクセス制限(最大登録許可台数:64台) | |
アンテナ | 5GHz/2.4GHz:2本(内蔵)、6GHz:2本(内蔵) | |
アクセスモード | インフラストラクチャーモード | |
有線LAN | 伝送速度 | LANポート:最大1Gbps(1G/100M/10Mbps)×3 INTERNETポート:最大2.5Gbps(2.5G/1G/100M/10Mbps)×1 |
端子形状 | RJ-45型 8極 | |
WAN側IP取得方法 | 手動 / DHCP / PPPoE / DHCPv6-PD / IPv6(IPoE/IPv4 over IPv6)※ ※IPv4 over IPv6での通信はOCNバーチャルコネクト、v6プラス、IPv6オプション、transix、クロスパスに対応 | |
セキュリティ | ステートフルパケットインスペクション(SPI)、パケットフィルタリング、VPNマルチパススルー(PPTP) | |
その他 | 回線自動判別切替機能 | |
電源 | AC100V 50/60Hz | |
電力 | 最大20.4W | |
寸法 | W140×H217×D75mm | |
重量 | 約610g(本体のみ) | |
保証 | 1年間 | |
付属品 | LANケーブル(2m)×2、ACアダプター×2、取扱説明書、保証書 | |
備考 | ルーター買い替え時にSSIDを引き継げるスマート引っ越し/無線引越し機能 専用アプリ(QRsetup、StationRada)に対応 キッズタイマー |
「BUFFALO WNR-5400XE6」の使用感:カバー範囲、速度ともに良好
実際にWNR-5400XE6で構築したメッシュWi-Fiで生活してみた印象をまとめました。
- ペアリング済みで簡単に接続できる
- 2台で一軒家をカバーできる
- スマートホームと相性が良い
上記の3点を中心にWNR-5400XE6の使用感を紹介していきます。
WNR-5400XE6を2箇所に設置してメッシュWi-Fiを構築!
筆者の自宅(建坪35の2階建て一軒家)で、「WNR-5400XE6/2S」を使ってメッシュWi-Fiを構築しました。我が家は2階リビングで、コントローラーはLDK隣の子供部屋にある情報ボックスに設置しました。
情報機器が多くてごちゃごちゃしていますが、WNR-5400XE6(コントローラー)の2.5GbpsポートとNURO光のONUを有線でつなぎ、電源を入れるだけです。
コントローラーのWi-Fi信号を拡張する「エージェント」は、1階の書斎に配置しました。
2台目以降(エージェント)は、電源ケーブルを繋いで電源を入れるだけ。有線LANでの接続は不要です。
ペアリング済みで簡単に初期設定できる
「WNR-5400XE6/2S」は、モデムと接続するコントローラーとコントローラーの信号を拡張するエージェントとして、あらかじめペアリングされています。2台のWi-Fiルーターの電源を入れ、同梱されいてるQRコードをアプリでスキャンするだけで設定が完了します。
混乱しがちなWi-Fiルーターの設定が一瞬で終わるので、ユーザーとしては非常に助かりますね。
メッシュWi-Fiデビューにも最適ですね!
Wi-Fiの電波/速度を検証:どちらも優秀で家中快適に
Wi-Fi信号の強度とインターネット速度を下記の3地点で測定しました。
- リビングの角
- ファミリークローゼット
- 玄関
Wi-Fi信号の強度:広範囲でアンテナ3本をキープ
- リビングの角:アンテナ3本、稀に2本
- クローゼット:アンテナ3本、ごく稀に2本
- 玄関:アンテナ3本、ごく稀に2本
稀にアンテナが2本となる場所がありますが、概ね3本を維持していました。2本になったとしても、極端に速度が落ちることはありませんでした。
Wi-Fiの速度:混雑時でも高速通信が可能
子供部屋(1台目のWi-Fiルーターを設置)や書斎(2台目のWi-Fiルーターを設置)から離れるほど速度が低下する傾向にありました。
下り | 上り | |
---|---|---|
(1)リビングの角 | Mbps | 200 Mbps |
(2)クローゼット | Mbps | 250 Mbps |
(3)玄関 | 280 Mbps | 240 Mbps |
(4)コントローラー付近 | 620 Mbps | 420 Mbps |
速度を保つためにアクセスポイントとの距離が大事なのは、Wi-Fiルーター1台のときと変わりません。Wi-Fiルーターが増えてメッシュWi-Fiを構築しているので、高速通信ができる範囲が広がっているのが特徴的です。
「下り」と「上り」とは?
「下り」は、データを受信(ダウンロード)する速度、「上り」は、データを送信(アップロード)する速度です。日常のシーンでは、「下り」がWebサイトやSNSを開くとき、「上り」がメールの送信やSNSの投稿に関係してきます。
スマートホームとの相性が良い
Wi-Fiが死角なく行き届く環境だからこそ、家中に設置したIoTデバイスを確実にWi-Fi管理できるようになります。本格的なスマートホームを構築するには、メッシュWi-Fiが必要不可欠。
筆者の自宅もSwitchBotを中心としたスマートホームを構築しており、家中のIoTデバイスを管理するために重宝しています。メッシュWi-Fiやスマートホームは、単語だけ聞けば難しそうに聞こえます。しかし始めてみれば意外とシンプルに導入できるので、興味がある方はぜひ検討してみてくださいね!
「BUFFALO WNR-5400XE6」のデメリット
筆者がしばらく本製品を使ってきて、残念に感じたことがこちら。
- 管理には2つのアプリが必要
- アプリで出来ることに限界がある
- ルーターの設定画面が使いにくい
メッシュWi-Fiをもっと広めていくためには、この3点が足枷になってくるなと感じました。それでは詳しく紹介していきますね。
管理には2つのアプリが必要
設定用のQRコードを読み取るために「QRsetup」、簡単な設定をするために「StationRadar」というアプリが必要になります。特に前者は、BUFFALOのQRコードを読み取るだけのアプリで、ユーザーとしては非常に残念な仕様。アプリが増えるとスマホ内も散らかりやすいので、どうにかして2つのアプリを統合して欲しいものです。
アプリで出来ることに限界がある
設定アプリの「StationRadar」の用途は簡単な設定にとどまり、Wi-Fi環境の確認や細かな設定をするためにはブラウザで設定画面にログインしなければいけません。
UIも微妙だし、もっと直感的に使えるようにして欲しい。
ルーターの設定画面が使いにくい
ユーザー名の「admin」とWi-Fiルーター本体の背面に記載されたパスワードを入力し、ブラウザ上で設定画面にログインします。
モバイル用設定画面
にチェックを入れてログインしましたが、スマホに最適化されているようには思えず、ちょっと使いずらい印象を受けました。
インターネットに詳しくないユーザー層に「使いやすい!」と思わせるためには、優れたUIのアプリで気軽に設定をいじれるのが理想かな。
まとめ:初期設定が簡単でメッシュWi-Fi初心者にオススメ!
本稿では「BUFFALO WNR-5400XE6/2S」をレビューしてきました。最後に本製品のメリットとデメリットを振り返っておきます。
- 設定はつなぐだけ
- メッシュWi-Fiで家中に快適なネット環境を構築できる
- Wi-Fiルーターとしての能力は申し分ない
- EasyMeshに対応
- 本体デザインが良い
- 2つのアプリが必要
- アプリで出来ることに限界がある
- アプリのUIが微妙
- ブラウザ上の設定画面が使いにくい
初期設定が簡単な反面、アプリで詳細な設定を確認することができないのは残念。Wi-Fiルーターとしての能力は十分すぎるほどで、メッシュWi-Fiを手軽に導入できる点は他にない魅力でしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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