ARやVRは、数年前から “来年こそ流行る” と言われ続けていますが、いまだに流行っていないのが現状。実際にARやVRのデバイスが流行らない要因は、こんなところでしょう。
- 試せる機会が少ない
- 実用レベルに達しているか不透明
- 着けていると目立つ
- 価格が高い
しかし世界的にマーケットを展開する急成長中のARブランド「XREAL」なら、この流れに終止符を打てるかもしれません。
XREALは、もともと2017年にNrealとして設立されたARブランド。技術が進化していく中で、ブランドコンセプトが「ARの提供」から「ARの日常化」へと変貌し、2023年にXREALとして再スタートを切っています。
そこで日常的にARを使っていない筆者が、初めてARグラス『XREAL Air Pro 2』を手にした印象を共有していきます。
- バスパワーで動く
- まるで映画館のような映像美
- 調光機能が超優秀!
- 音漏れしにくい
- 作業やゲームにも使える
- 持ち運びが容易
- 視野が狭い
- 外部ディスプレイよりピントが合いにくい
- レンズやBeam等などのオプション品の出費が痛い
提供:Xreal
XREAL Air 2 Proの特徴
AR(Augmented Reality)は、現実世界に情報やコンテンツを重ねて表示する技術のこと。日本語では拡張現実と呼ばれています。
本稿でレビューするXREAL Air 2 Proは、実際に見えている空間にスマートフォンやPCの画面を拡張できるARグラス(メガネ)です。
映画などを大画面で視聴するエンタメ利用はもちろん、3つのディスプレイを並べた効率的な作業環境をつくることも可能。
小型かつサングラス型のデバイスなので、自宅だけでなく外出先でも活躍してくれます。
ARとVRの違いは?
同じような分野でよく耳にする「VR」は、Virtual Realityの略。日本語では仮想現実と呼ばれ、自分が仮想空間(ライブ会場やゲーム内)にいるかのような体験ができます。
現実世界に情報を拡張するのがAR、自分が仮想空間に入り込むのがVRというイメージです。VRには視界の全てを覆うゴーグルのようなデバイスが必要で、日常シーンに落とし込むにはハードルが高め。
方ARは、日常的にも活用が進んでいます。スマートフォンを介して家具などの実寸台を確認できる機能は、ARが使われている分かりやすい例でしょう。スマホアプリにARが活用されることも多く(ポケモンGOやSNOWなど)、今後が楽しみな技術です。
パッケージ内容と本体デザイン
カラフルなカメレオンが描かれた美しいパッケージです。
どの面からみても綺麗な外箱だったので、他の面も撮影してみました。開封前からワクワクするガジェットで、筆者も胸が躍ります。
XREAL Air 2 Proのパッケージ内容はこんな感じ。早速開封して本体をチェックしていきます。
- XREAL Air 2 Pro
- ライトシールド
- ケース
- ノーズパッド(S/M/L)
- 視力矯正フレーム
- USB-Cケーブル
- 取扱説明書
ARグラスの本体ケース、クロス、交換用ノーズパッド(S/L)、視力矯正フレーム、取扱説明書が同梱されています。
ケースの中には、XREAL Air 2 Proの本体、ライトシールド、接続用のUSB-C to Cケーブルが入っています。
本体を正面からみると、ぱっと見は普通のサングラスですね。
左耳にかける部分にUSB-Cポートが搭載されていて、スマホやPCなどのデバイスやXREAL Beam(後述)と有線で接続します。耳元にスピーカーを搭載し、小さな音でも耳に届きやすくなっています。
右のツルにはレンズの透過率を変更する多機能ボタンや音量ボタン、スピーカーを搭載。
XREAL Air(前モデル)やAir 2との比較
新モデルのXREAL Air 2 Proと旧モデルのXREAL Air 2を並べてみました。デザインの変化はほとんどなく、使っているのを見ても区別がつかないでしょう。
XREAL Air 2 Proの耳掛けはより柔らかくなり、フィット感が向上してます。
XREAL Air 2 Proでは、ツルの下側だけでなく上側にもスピーカーが追加されています。
没入感を増すためのライトシールドは、下からの光も遮断できるようにに改良されています。
ノーズパッドはXREAL Air 2 Proになって、膨らみがでてクッション性が増しています。実際に装着してみるとフィット感が向上しているのが分かります。
左:XREAL Air 2 Pro、右:XREAL Air
ARグラスを収納するケースは、内側の仕切りあり→仕切りなしに変更になっています。
左:XREAL Air 2 Pro、右:XREAL Air
前モデルは止水ジップで開閉するタイプですが、XREAL Air 2 Proではパタっと閉じる仕様になりました。表面の素材やデザインも変更されていて、高級感がでています。
XREAL Air 2 ProとXREAL Air 2(手元に実機なし)、XREAL Airの違いを表にまとめました。要約すると、Airから全体的にアップデートされたのがAir 2、Air 2に調光機能が追加されたのがAir 2 Proです。
Air/Air 2を明るい場所で使うと、ARグラスを通して映し出されるディスプレイが見にくくなってしまいます。ライトシールドで視界を完全に遮断することでARに集中できますが、周りの環境が見えなくなるのが気になります。
Air 2 Proに搭載されている調光機能があれば、ボタンひとつでレンズの透過度を0%、35%、100%に調整でき、ライトシールドが不要。使う場所を選ばず、ARと現実世界の行き来もスムーズです。
各モデルの選び方
前述したXREAL Air/Air 2/Air 2 Proの違いを踏まえ、買うべきモデルをまとめました。
- XREAL Air
→とりあえず最先端のARグラスを試してみたい方 - XREAL Air 2
→掛け心地などの使用感に拘りたい方 - XREAL Air 2 Pro
→調光機能が必要な方
XREAL Airでも十分すぎる性能なので、「ARグラスに興味があって使ってみたい!」という方には最適なモデルでしょう。実際に筆者もXREAL Airを使ってみましたが、不都合なく快適に使えていますね。
後継モデルのXREAL Air 2では、主に掛け心地が向上しており、長時間でも快適に使えるようになっています。ただXREAL Airの使用感が不快なわけでもないので、Air 2なら調光機能が付いているAir 2 Proを選んでも良い気がします。
個人的にはAirもしくはAir 2 Proがオススメ!
XREAL Air 2 Proの使用感をレビュー
今までARグラスを触ったことがなかった僕が実際に1ヶ月ほどXREA Air 2 Proを使ってみた印象をまとめました。
ひとつずつ詳しく解説していきますね。
充電する必要がない
XREALのARグラスは、バスパワー(接続したデバイスから電源を供給)で動きます。バッテリーが搭載さいれていないので、充電が不要で本体の重量も抑えられています。接続する端末のバッテリーだけを気にしておけば良いので、ユーザーとしては助かります。
電源供給のためにも有線接続が必須となります。筆者が参加した2023年の年末に開催された【XREAL 感謝祭】では、「当面の間、バッテリーを搭載したARグラスを開発する予定はない」と言い切っていました。
仮にバッテリーを搭載して無線化できても、ARグラス本体の重さupは不可避。
長時間使うためには掛け心地が重要なので、個人的にはバッテリーを搭載しないメーカーの方向性は、間違っていないと思います。
どうしても有線接続が嫌なら、XREAL Beam(後述)で無線化するか、別メーカーのARグラスを検討したほうが良いでしょう。
映像はまるで映画館
ARグラスの中をスマホで無理やり撮影してみました。グラスを装着してみると、130インチのスクリーンが目の前に広がります。
実際にXREAL Air 2 Proで映画を3本視聴。目の前の大型スクリーンが広がり、迫力満点の映像を楽しめました(映像が凄くて必要以上に映画を観てしまいました)。
誰にも邪魔されることがない自分だけのプライベートシアターになるので、プロジェクターにも劣らない満足感があります。
良くも悪くも映像が自分にしか見えないので、誰かと一緒に映画を観たい場合には不向きですね。ひとつの映像を2つのARグラスにミラーリングできれば、活用の幅も広がる気がします。
調光機能が優秀!外出先でも使える
明るい部屋でプロジェクターの映像が見えにくいのと同じで、ARグラス内に投影された映像も周囲が明るいほど見にくくなります。なのでXREAL Air2/Airを明るい場所で使う場合、付属のライトシールドで周囲の明るさを遮断する必要があります。
しかしXREAL Air 2 Proには、とにかく優秀なエレクトロクロミック調光がついている!ボタンひとつでレンズの明るさ(透過率)を変えられるので、明るい部屋はもちろん、屋外でもディスプレイが綺麗に見えます。
LEVEL 1(左)は、わずかに影がある程度で、現実世界とのやり取りが可能。LEVEL 3(右)は、ほぼすべての光を遮断するので、明るい場所でも没入感が得られます。
音響は及第点で、音漏れ対策も良好
AirPods Proなどのワイヤレスイヤホンほどではありませんが、及第点の音質だと思います。もちろんワイヤレスイヤホンにも出力可能。音質に満足できない方は、今なら1万円台で買えるワイヤレスイヤホンでも満足できるモデルが出てきているので、購入を検討しても良いでしょう。
音漏れ対策も優秀で、静かな部屋で50cmほどの距離にいる人にも音量30%までなら聞こえません。実際にワークスペースで隣に座っている妻も、音漏れしていないと太鼓判を押してました。カフェなどの適度に騒音がある環境下であれば、音漏れが気になることはなさそう。
作業で使えるが課題もある
エンタメ利用だけでなく、仮想ディスプレイでの作業も十分可能!有線接続なので遅延もないし、実用レベルに達している使用感でした。
ただ視野角の狭さには、大きな不満を感じています。
現実世界を拡張するARグラスの視野角は、視界全体を遮断して仮想空間を展開するVRに比べて小さくなりやすい。XREAL Air 2 Proの視野角は46度しかないので、おおよそディスプレイ1枚分の視界。Nebula for Macをインストールして、ディスプレイ3枚を並べることもできますが、左右のディスプレイを視認するには首を振らなければいけません。
なので2〜3枚のディスプレイを展開するのは、現実的ではないように感じています。デスクトップPCや外部ディスプレイでの作業には劣るので、あくまで持ち運び用の大型ディスプレイという立ち位置でしょう。
外部ディスプレイよりピントが合いにくい
XREAL Air 2 Proでは、4m先に130インチのディスプレイを表示するのを基本としています。デスクでのディスプレイへの距離は、せいぜい1m弱でしょうか。通常よりディスプレイまでの距離が伸びるので、普段ぼやけていない人でもピントが合わないことがあります。
僕もメガネユーザーなので、メガネと同じ度数のインサートレンズを注文して視力を調整して使っています。
それでもデスク上のディスプレイと比べてしまうと、ARグラスを通して4m先に表示される仮想ディスプレイのほうが若干見にくい気はしますね。
全然使えるレベルで問題ないんですが、長時間の作業では普段作業しているディスプレイより疲れやすい気がしました。一方、映画鑑賞などのエンタメ利用では、長時間でも気になることはありませんでした。
自宅ではエンタメ専用、外出先では作業も◎
ARグラスをアップデートするXREAL Beam
XREAL Air/Air 2/Air 2 Proの可能性を広げてくれるのが「XREAL Beam」です。
Beamの説明は、下記の公式YouTubeをご覧ください。
Beamの底面には2つのUSB-Cポートが搭載されており、片方のポートとXREAL Air 2 Proを接続すれば、iPhoneやMac等からの無線で出力できるようになる代物。
無線化だけでなく、他にもできることが多いので、XREAL Beamで実現できることをまとめました。
- 映像出力する端末との無線接続
- ARグラスでSwitchなどのゲーム機をプレイ
- 空間にディスプレイを固定する
- ディスプレイの距離やサイズを変更する
- Netflixやアマプラを視聴
SwitchとUSB-Cケーブル1本で接続できるので、ゲーム用途でARグラスを使いたい方は必須のアイテムですね。
スプラトゥーン3でも、遅延は気にならなかったです!
筆者が特にBeamで重宝している機能がSpatial Display(空間ディスプレイ)です。通常では常に正面に映像が映っていて、首の動きに追従してきます。
Beamがあれば、ディスプレイが首の動きに追従しないように空間に固定したり、視界の四隅に配置したりできます。
ディスプレイを固定できるのはめちゃくちゃ重宝するし、ARグラスとBeamだけで動画も観れるのも地味に嬉しい。必須アイテムではないけれど、XREAL Air 2 Proの可能性を広げてくるので、オプションとして検討しても良いでしょう!
XREAL Hubで端末を充電しながら使う
2024年4月10日以降に発売される「XREAL Hub」は、かゆいところに手が届くアクセサリーです。
出力用と充電用のUSB-Cポートを搭載しているので、前者はARグラスに、後者は充電器に接続します。
写真のようにスマホやゲーム機をXREAL Hub経由でARグラスに接続すれば、端末を充電しつつARグラスを使えます。
特にSwitchを充電しながらプレイできない点はネックだったので、筆者も重宝しているアイテムです。
まとめ:ARグラスで近未来を体験しよう!
本稿ではXREAL Air 2 Proをレビューしてきました。記事の最後に本製品の特徴を振り返っておきます。
- バスパワーで動く
- まるで映画館のような映像美
- 調光機能が超優秀!
- 音漏れしにくい
- 作業利用も可能
- 視野がディスプレイ1枚分ほどで狭い
- 外部ディスプレイよりはピントが合いにくい
- 無線化にはBeamが必要
- オプション品(レンズ、Beam等)の出費が痛い
近未来を体験できるアイテムで、個人的な満足度は高めでした。
ARグラスの掛け心地を考えると、本体にバッテリーを搭載するのは非現実的。それゆえ電源を供給するための有線接続はしょうがないでしょう。
現状でも実用レベルのデバイスですが、視野角が少しでも広がってくれれば、はるかに使用感が向上すると思います。VRより視野角を確保しにくいARですが、今後の成長に期待したいですね。
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