本記事はTP-LinkのトライバンドメッシュWi-Fi 6システム『Deco X95 』のレビュー記事です。メーカーよりレビュー用に製品を提供いただき、実際に使ってみた筆者が抱いた印象をもとに記事を執筆しています。金銭等の提供はなく、メーカーに忖度しない筆者が感じたままのレビュー記事です。
家族のほぼ全員がスマホやタブレットを所有している時代、誰しも自宅に快適なネット環境を構築したいと考えるでしょう。
3LDK程度ぐらいの賃貸物件ならまだしも、二階建て一軒家ともなると無線LANルーター(Wi-Fiルーター)1台で網羅するのは難しいところ。
そこでオススメしたいのが、「メッシュWi-Fi」です。
Wi-Fiの死角をなくし、家中どこでも途切れない接続を提供するために構築されたシステムです。
従来のルーターでは単一のポイントからWi-Fiを送りますが、メッシュシステムでは家中に複数の無線LANルーターを設置することで、網目状(メッシュ)にWi-Fiをめぐらせます。より広範囲まで行き渡らせます。
障害物や無線LANルーターからの距離、接続するデバイスの数などに影響をうけにくく、速度が安定しやすいのが特徴です。
「メッシュWi-Fi = 設定が難しそう」と感じている方はまだまだ多いですが、実はこれは間違い。
本記事でレビューするTP-LinkのDecoシステムなら、Wi-Fiの設定もアプリひとつで驚くほど簡単だし、2台目以降のWi-Fiルーターは電源を入れるだけでつながります。
自宅のWi-Fi環境を改善したい方には、ぜひ試していただきたいアイテムです。
- 設定がめちゃくちゃ簡単
- Wi-Fiルーターとは思えないデザイン
- 2.5Gbpsポートとギガビットポートを搭載
- 2台目以降は電波の悪いところに置くだけ
- 超高速(最大4804Mbps)
- スマートホームとの相性が抜群
- 価格が高い
- IPv4 over IPv6に非対応
- 本体サイズが大きい
『TP-Link Deco X95』のスペックや特徴
TP-LinkのDecoシリーズは、Xに続く2桁の数字が性能を示しており、豊富なラインナップが特徴的。
まずはそれぞれのスペックをまとめておきます。
Decoシリーズのスペックを比較
本記事でレビューする『Deco X95』は、「Deco X90」の後継にあたるハイエンドモデル。
X95の発売に伴い、前モデルのX90は生産終了となっています。
Decoシリーズの代表モデルとそのスペックを表にまとめました。
X95 | XE75 | X60 | X50 | X20 | |
---|---|---|---|---|---|
Wi-Fi性能 | ハイエンドモデル トライバンド Wi-Fi 6 | ハイエンドモデル トライバンド Wi-Fi 6E | ミドルレンジモデル デュアルバンド Wi-Fi 6 | ミドルレンジモデル デュアルバンド Wi-Fi 6 | ローエンドモデル デュアルバンド Wi-Fi 6 |
Wi-Fi速度 | AX7800 5GHz-1: 4804Mbps (802.11ax, HE160) 5GHz-2:2402Mbps (802.11ax, HE160) 2.4GHz: 574Mbps (802.11ax) | AXE5400 6GHz:2402Mbps (802.11ax, HE160) 5GHz:2402Mbps (802.11ax, HE160) 2.4GHz:574Mbps (802.11ax) | AX3000 5GHz:2402Mbps (802.11ax) 2.4GHz:574Mbps (802.11ax) | AX3000 5GHz:2402Mbps (802.11ax, HE160) 2.4GHz:574Mbps (802.11ax) | AX1800 5GHz:1201Mbps (802.11ax) 2.4GHz:574Mbps (802.11ax) |
Wi-Fi範囲 | 1パック: 1〜3LDK 2パック: 4〜6LDK | 1パック: 1〜3LDK 2パック:3〜5LDK | 1パック: 1〜3LDK 2パック: 3〜5LDK 3パック: 4〜7LDK | 1パック: 1〜3LDK 2パック: 3〜4LDK 3パック: 4〜6LDK | 1パック: 1〜3LDK 2パック: 3〜4LDK 3パック: 4〜6LDK |
有線ポート | 2.5Gbpsポート×1 ギガビットポート×2 | ギガビットポート×3 | ギガビットポート×2 | ギガビットポート×3 | ギガビットポート×2 |
本体サイズ | 130 × 123 × 210.5 mm | 105 × 105 × 169 mm | 110 × 110 × 114 mm | 110 × 110 × 114 mm | 110 × 110 × 114 mm |
購入先 | Amazon | Amazon | Amazon | Amazon | Amazon |
『Deco X95』最大の特徴はトライバンドに対応し、2.5Gbpsポートを搭載したことでしょうね(後述)。
つまりトライバンドや2.5Gbpsポートが不要な方は、ミドルレンジモデルを選んでも良い。
ちなみに筆者はレビューのために「Deco X50」から『Deco X95』に乗り換えた身。
20以上のスマートホーム端末を配置している我が家でも、今まで使っていたミドルレンジのX50に対して全く不満はありませんでした。
初めてメッシュWi-Fiを導入する方は、ミドルレンジから始めても良いでしょう。
『Deco X95』の特徴と詳細スペック
『Deco X95』の詳細スペックがこちらになります。
製品名 | Deco X95 公式ホームページ |
メーカー | TP-Link |
グレード | 最上位グレード |
本体サイズ | 直径: 130mm(底面: 123mm) 高さ: 210.5 mm |
重量 | 717 g(実測値) |
内容物 | Deco X95(2パック) Deco X95ユニット×2 RJ45 LANケーブル×1 電源アダプター×2 かんたん設定ガイド Deco X95(1パック) Deco X95ユニット×1 RJ45 LANケーブル×1 電源アダプター×1 かんたん設定ガイド |
規格 | Wi-Fi 6 IEEE 802.11ax/ac/n/a 5GHz-1 IEEE 802.11ax/ac/n/a 5GHz-2 IEEE 802.11ax/n/b/g 2.4GHz |
Wi-Fi速度 | AX7800 5GHz-1:4804Mbps 5GHz-2:2402Mbps 2.4GHz:574Mbps |
内蔵アンテナ | ・ハイゲインアンテナ×4 →多くの方向と広いエリアをカバー ・スマートアンテナ×2 →他のDecoユニットを自動で検出 |
Wi-Fi性能 | ・トライバンド →5GHz帯の1つがバックホール専用として機能 ・4×4 MU-MIMO →複数のMU-MIMO対応クライアントと同時に通信 ・OFDMA →複数のWiFi 6対応クライアントと同時に通信 ・8ストリーム →デバイスをより多くの帯域幅に接続 |
動作モード | ルーターモード/ブリッジモード |
有線ポート ボタン | 2.5Gbpsポート×1 ギガビットポート×2 リセットボタン |
Wi-Fi暗号化 | WPA-Personal WPA2-Personal WPA3-Personal |
セキュリティ | SPIファイアウォール アクセスコントロール ※HomeShield セキュリティ |
ゲスト | 5GHzゲストネットワーク×1 2.4GHzゲストネットワーク ×1 |
WANタイプ | Dynamic IP Static IP PPPoE PPTP L2TP |
管理 | Decoアプリ |
備考 | IPv4 over IPv6に非対応 |
軽く前述しましたが『Deco X95』の特徴は、トライバンドと2.5Gbpsポートです。
流石の最上位グレード、文句のつけどころが見当たりません。
性能面における唯一の懸念点は「IPv4 over IPv6に非対応」なところでしょうか。
トライバンドに対応したメッシュWi-Fi
メッシュWi-Fiは、複数の無線LANルーターからWi-Fiを飛ばして家中にすき間ないインターネット環境をつくるシステム。
広範囲をカバーできる一方、無線LANルーター間もWi-Fi接続が必要になるのが難点です。
そんな弱点を補うように『Deco X95』には、無線LANルーター間の接続のみに使われる専用バンド(5GHz-2)が搭載されています。
5GHz-2はDecoシリーズ間をつなぐための専用バンドで、5GHz-1を混雑させることなくDecoシリーズを無線接続できます。
多くの端末をつなぐ「スマートホーム」や速度が重要な「ゲーム」と相性抜群です!
2.5Gbpsポートを搭載!
意外と知られていないのが、最大通信速度が2Gbpsのサービス(NURO光、auひかり等)を契約していたとしても、無線LANルーターのWANポート以上の速度はでないということ。
つまりWANポートがギガビットポートなら、どうあがいても1Gbpsが限界です。
『Deco X95』には2.5Gbpsポートが搭載されているので、理論上2.5Gbpsの通信速度を目指すことができます。
まあ普段使いなら1Gbpsでも十分すぎますし、実際はそんなに出ないんですけどね。
IPv4 over IPv6には非対応
残念ながらDecoシリーズは、IPv4 over IPv6に対応していません。
しかし従来のインターネットプロトコル「IPv4」より混雑を避けられる「IPv4 over IPv6」は、いまだ普及しているとは言い難いので、ここについては問題ないかと思います。
さらに『Deco X95』はIPv6パススルーに対応しているので、IPv6が当たり前の時代になってもDecoシステムのサテライトルーターとして使えるのでオススメです。
『Deco X95』を開封!付属品や本体デザインをチェック
『Deco X95』の外箱には、製品の特徴やメッシュWi-Fiについての説明が記載されています。
外箱の側面には、製品の仕様とパッケージ内容が示されています。
製品のパッケージ内容はこんな感じ。
- Deco X95ユニット×2
- RJ45 LANケーブル×1
- 電源アダプター×2
- かんたん設定ガイド
早速開封してみて、本体のデザインをみていきましょう。
『Deco X95』の本体は円錐状のデザインで、複数のアンテナが出ている従来のWi-Fiルーターとはだいぶ異なる外観です。
上から見ても独特でオシャレなデザインをしています。
本体の底面は、円周に沿う通気孔とシリコン製の滑り止めが4つ。
背面にはWAN/LANポートが3つ(2.5Gbpsポート×1、ギガビットポート×2)搭載されているので、PCやゲーム機を気軽に有線接続できます。
本体サイズの実測値は、カタログ値と同じでした(直径: 130mm、高さ: 210.5mm)。
本体以外の付属品はこんな感じ。
1パックの場合は電源アダプタが1つになりますが、その他の付属品に変わりはありません。
ちなみにWi-Fiのパスワードを任意で決めることができるので、パスワードカードの同梱はありません。
『Deco X95』の使用感をレビュー
ここからは僕が実際に『Deco X95』を使って感じた印象を中心に紹介していきます。
『Deco X95』をテレビ裏に設置!
山﨑実業の「テレビ裏収納ラック」というアイテムを使って、『Deco X95』を設置してみました。
すこしサイズが大きいので、テレビ裏のデッドスペースを有効活用して省スペースを心がけています。
『Deco X95』をアプリでセットアップ
TP-LinkのDecoシリーズの設定は、すべて以下の専用アプリから行います。
早速こちらのアプリをつかって、『Deco X95』の初期設定をしていきます。
TP-LinkアカウントでDecoアプリにログインし、セットアップしたいDecoシリーズ(本記事の場合はDeco X95)を選択します。
モデムとDeco本体の電源を切って、モデムのLANポートと『Deco X95』の2.5Gbpsポートを付属のLANケーブルで繋ぎます。
最後にWi-Fiの名前とパスワードを決めれば設定完了です。
めちゃくちゃ簡単で、逆にビックリしましたね。
『Deco X95』の良いところ(メリット)
筆者が『Deco X95』を実際に使ってみて感じた良いところ(メリット)はこんな感じ。
- 設定がめちゃくちゃ簡単!
- Wi-Fiルーターとは思えないデザイン
- 2台目以降は電波の悪いところに置くだけ
- 2.5Gbpsポートとギガビットポートを搭載
- 超高速(最大4804Mbps)
- スマートホームとの相性が良い
設定の簡単さやデザインについては十分説明してきたので、ここからは3〜5について詳しく説明していきます。
2台目以降は好きな場所に置くだけ
我が家ではメインルーターをリビングのテレビ裏、サテライトルーター(2台目)を書斎のデスク上に設置しています。
サテライトルーターを好きな場所に設置するだけで、気軽にWi-Fi環境を改善できるのでめちゃくちゃ重宝しています。
2.5Gbpsポートとギガビットポートを搭載!気軽に有線接続できる
2.5Gbpsポート×2、ギガビットポート×1を搭載していて、気軽に有線接続できるのが嬉しいポイント!
僕はデスク上に設置したサテライトルーターからMacBookとNintendo Switchを有線接続しています。
Wi-Fi環境を改善するだけでなく、有線でインターネットにつなげられる環境になるのはとても重宝しています。
『Deco X95』のWi-Fi速度は?実測値も大満足
実際に『Deco X95』でWi-Fiを飛ばしてみて、どのぐらいの回線速度が出るのか検証してみました。
結果の誤差を最小限にするために、以下の条件のもと測定を実施しました。
- 無線LANルーター:”Deco X95 × 2″ vs “Deco X50 × 2”
- 測定場所:メインルーターとサテライトルーターの中間
- 使用端末:iPhone 13 mini
- 通信業者:Nuro光
- 動作モード:ルーターモード
- 測定日時:日曜日の19時
- 測定結果:それぞれ5回測定し、中央値を採用
比較対象はDecoシリーズのミドルレンジでコスパに優れる「Deco X50」。
僕自身もいままで不自由なく使っていたモデルですが、休日のゴールデンタイムにも関わらず100Mbps近くの差が出ました!
「Deco X50」の260Mbpsでも困ることはありませんが、『Deco X95』はハイエンドモデルなだけあって流石です。
スマートホームとの相性が良い!
「スマートプラグ」や「スマートロック」によって代表されるスマートホーム製品は、Wi-Fiへの接続が必要不可欠。
ぶっちゃけメッシュWi-Fiを導入する前は、スマートホーム製品がネットワークエラーになることも多く、せっかく構築したスマートホームに対してストレスを感じることも………..。
メッシュWi-Fiの導入をきっかけに、スマートホーム製品のネットワーク環境がかなり改善しました。
家中に散りばめられたスマートホーム製品を確実にネットワークへ接続するためには、家中をWi-Fiで塗りつぶす “メッシュWi-Fi” の右にでる選択肢はないでしょう。
『Deco X95』の残念なところ(デメリット)
製品のメリットばかりではなく、デメリットまできちんと紹介することがレビュワーの役目。
実際に僕が感じた『Deco X95』のデメリットはこちらです。
- 価格が高い
- IPv4 over IPv6に非対応
- サイズがデカい
IPv4 over IPv6については、前述しているのでこちらでは割愛します。
価格が高い→対策あり
いくらハイエンドモデルだからといって、ミドルレンジモデルの2倍以上の価格がするのはちょっと残念ですよね。
数千円の差ならまだしも、数万円変わるとなると購入を躊躇する方も多いでしょう。
そんな方に耳寄りな情報がこちら。
ハイエンドモデルは
メインルーターのみでOK!
DecoシリーズによるメッシュWi-Fiの性能は、メインルーターに依存します。
つまりモデムと接続するメインルーターにハイエンドモデルの『Deco X95』を採用すれば、サテライトルーター(2台目以降)が『Deco X95』である必要はないんですよね。
メインルーターに『Deco X95』、サテライトルーターに「Deco X50」といった合わせ技がオススメです!
本体のサイズが大きい
「Deco X50」と比べると、ふたまわりほど『Deco X95』のほうが大きいのがよく分かります。
もちろんオシャレなデザインであることは嬉しいんだけど、ここまで大きくなるとゴツさが勝るかなー。
ハイエンドモデルになるとサイズが大きくなるのはしょうがないですが、「Deco X50」ぐらいのほうが可愛くてオシャレに見えますね。
まとめ: ハイエンドの名に恥じないメッシュWi-Fi
TP-LinkのメッシュWi-Fiシステム『Deco X95』をレビューしました。
- 設定が簡単
- Wi-Fiルーターとは思えないデザイン性
- 有線ポートが充実
- 2台目以降は置くだけ
- 超高速!
- スマートホームとの相性が良い
- 価格が高い
- 本体のサイズが大きい
- IPv4 over IPv6に非対応
本体サイズと価格がネックではありますが、ハイエンドモデルとして非常に優秀な製品だと思います。
特にスマートホームを構築している方や自宅のWi-Fi環境に不満がある方には、ぜひともメッシュWi-Fiを試していただきたいですね。
関連: ミドルレンジのメッシュWi-Fi『Deco X50』
本記事でレビューした『Deco X95』は、TP-LinkのメッシュWi-Fiシステムの中でもハイエンドの位置づけ。
一方ミドルレンジの『Deco X50』は、初めてメッシュWi-Fiを試したい方にぴったりな高コスパモデルです。
レビュー記事を貼っておくので、ぜひこちらもあわせて御検討ください。
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